私は小学6年生の子どもでした。
ほんの数年前の話です。ええ。
当時、私の母校の6年生は運動会で組体操の演目がありました。
その演技の中で塔を作ると。
とても高い塔で、その一番上に登る候補として、当時小さかった私が抜擢されたのです。
練習当日、たくさんの人が下で支えてくれる中、最後、私が立ったら完成というシーン。
「立って!がんばれ!」という応援。
しかし、どうしてだろう。立てませんでした。
脚が震えるのです。
いつもなら高いところ平気なのに。
全然立てるはずなのに。
支えてくれるみんなの表情から、先生が一声かけたのでしょう。
「よし、ゆっくり降りよう」
塔が下がっていきます。
みんなが支えてくれていたのに。
みんなが応援してくれていたのに。
涙がこみ上げてきました。
金子みすゞさんの詩「積もった雪」です。
上の雪 さむかろな。つめたい月がさしていて。
下の雪 思かろな。何百人ものせていて。
中の雪 さみしかろな。空も地面もみえないで。
どこの雪がいい、悪いじゃない。
どこ雪もがんばっている。
だから雪景色は美しく、組体操も感動を呼ぶのだと思います。
あなたがどの場所、どの立場、どのスポット、どの役割を人生でもらうのかは分かりません。
そこでめいいっぱい気張って立たれているのでしょう。
それで十分かと。
ただ、どうしても立てないとき、さらに頑張るのもいいけど、
「助けて!」
と仲間を頼る道があることを忘れずにいてください。