ひくつ【卑屈】
[名・形動]
必要以上に自分をいやしめて人にへつらうこと。いじけて人にへりくだること。
「卑屈な態度をとる」【出典】大修館書店『明鏡国語辞典MX』
■ 私は自分が好き
「自分大好きなんですよ」
と普段から言っている。
「自分を好きになる」ということを人生の最終目標ぐらいに目指している。
「自分を好きになる」のが夢なのだ。
目標、夢を掲げるときは気をつけた方がいい。
だって、それって、今できていない証明だから。
「金持ちになりたい」は、自分基準で今金持ちではないことの証明だし、
「もっと強い人間になりたい」は、自分のことを弱いと評価している。
「自分を好きになりたい」という人に、自分を好きな人はいない。
「自分のこと大好きなんですよ」という人もあやしい。
自分のことを本当に好きな人は「自分を好き」なんて言わない。言わなくていい。
「俺は強い」
あえて言っている猛者もいるだろうが、強い人はそんなこと言わなくても強いって分かるものだ。
「(強いと思われていないだろうから言っておくけど)俺は強い」
そんな感じだ。周りから強いと思われていない。
長々書いたが、そう、私は自分のことを本心好きではないのだ。
■ 大器晩成と言われ納得し続けた人生
「俺なんてどうせ」
と心のどこかでいつも思っている。
大したことがないと。何をやってもダメだと。そもそもやりきったこともないと。
親にも祖父母にも、
「お前は大器晩成型だから」
と言われて育ってきた。
たいきばんせい【大器晩成】
[名]
大きな器(うつわ)がそう簡単には完成しないように、すぐれた才能のある人は、たとえ若いころには目立たなくても、年を取ってから大成するということ。【出典】大修館書店『明鏡国語辞典MX』
「そっか、大器晩成型なら、今できてなくてもしょうがないな」
晩成とは、いつ来るのか。
今はまだ来ていないから、もっと年を取ってからなのだろう。
「明日からやるわ!」
の「明日」は、いつまでも「明日」で来ることはない。
晩成も同じ気がしてこわい。
親も祖父母も私も認める、今できていないのが私である。
■ 卑屈×ひらきなおり=謙虚
卑屈といえば卑屈か。
おかげさまで、へりくだるへりくだらない関係なく、周りの人たちはスゴく見える。
スゴい人しかいない。あっちもこっちも周りは大器ばっかりだ。
でも、これでいいんじゃね?と思いはじめた。
ひらきなおり、と言ってもいい。
おごり高ぶることも少なくなり、かといって落ち込むことも減った気がする。
「うわぁぁぁ、俺ってスゲぇぇ!」
というのは、何を成し遂げたにしても、自分の力の大半でそれを成し遂げたと思っている。
有名校に合格し「俺すげぇ」になったとしよう。
勉強する時間、金、場所は、誰が用意してくれたのか。
そもそもその学校を作り、運営してくれているのは誰か。
学校がなければ、合格はおろか、試験を受けることすらできない。
私がどこかに受かり、通えることになっても、誰かたくさんの方のおかげさまである。
もっとも、もともと卑屈なので「おかげさま」でしかない。おごりが減ったと思う。
「なんでこんなことになったんだろう」
というのは、何に失敗したとしても、どこかで「すげぇ自分ならできるはずだったのに」という気持ちが見え隠れしている。
私が落ち込むときは、こんなはずじゃなかったのにと、卑屈力が落ちたときに起こる。
卑屈力MAXなら落ち込まない。
なぜなら、「失敗?やっぱり?俺ってもんよねぇ」で終わり。
「私程度なのだから、できなくて当たり前」ってなもんです。
卑屈×ひらきなおり
これが最強だと思う。
そして、
卑屈×ひらきなおり=謙虚
なんじゃないだろうか。
「卑屈」というのは、マイナスの香りがする。
「ひらきなおり」も、マイナスイメージだろう。
マイナス×マイナス=プラス
謙虚というのはプラスの美徳だ。
ええじゃないか、卑屈。卑屈力。
できない自分だからこそ、その比較で周りを大器にできる。
自分が大器になるより、その方が何倍も何十倍もすごくないか。
「俺はすごくない。周りみんながすごい」
卑屈力、素晴らしい。
これからも大器に囲まれて生きていくこととする。