本っていいですよね。
「今更?」ってのがないもの。
特に、名作として読み継がれている本には、それが薄くなっている。
小説『君の名は。』は2016年6月に角川文庫より刊行されたものなので、歴史は浅いですが、読み継がれていいなと思う。
映画はもとより、小説も極上のエンターテイメントでした。
【目次】
■ 『君の名は。』映画と小説の共通点
新海誠さんのこの作品は、年頃高校生男女の人格が入れ替わってしまうファンタージーです。
中学ではバスケをやっていて(高校では背が足りなくてやめたらしいが、有名選手だった)、喧嘩っぱやく、見てくれはかっこいいが、女子との会話はまるでダメな、東京暮らしの立花瀧(たき)。
一方、宮水三葉(みつは)は、山深く自然豊かな田舎町、糸守町に暮らし、町唯一の神社、そこの娘。お父さんは町長さん。
寝て夢を見ることがトリガーとなり、それぞれの人格は入れ替わります。
初めはただの夢なのかと、それにしてもリアルな夢だなと、いやリアルというか、なんだこの残された痕跡は?自分が夢を見ている間、相手が自分を生きている?
夢を見た後、現実の自分の記憶が1日分飛んでいることもあり、自分が相手を生きているときは、相手が自分を生きているということに確信をもっていきます。
その入れ替わり期間、お互いの様子は、メモや日記アプリで記録&確認。
三葉は、その女子力でもって瀧の人間関係(特に女子との)をアップデートしていき、瀧はキレる。
瀧は瀧で、三葉の体でクラスメイトのくだらない陰口を一蹴したり、バスケで大活躍したりで三葉もキレます。
異性の体に戸惑う姿はコメディそのもの。
入れ替わり生活にも慣れてきて、お互いの良さをそれぞれの体で活かしていく日々は、痛快で楽しい♪
でも、なぜ、こんなことが起こってしまったのか?
その大きな謎の真相に近づくにつれ、物語は、、、二人の物語は交差して…
■ 映画と小説の違い
【引用】本書『君の名は。』は、僕が監督して2016年の夏に公開されるアニメーション映画の小説版である。つまり映画のノベライズなわけだけれど、実はこのあとがきを書いている時点では、まだ映画は完成していない。完成まではあとまだ三ヶ月くらいはかかりそうである。小説版の方が先に世に出てるわけで、だからまあ、映画と小説とどちらが原作なのかと問われると微妙なところだ。【出典】汐文社『小説 君の名は。』P254 著:新海誠
大きな違いとしては、映画は俯瞰の視点。
一方小説は、瀧と三葉の一人称の視点です。
それぞれの登場人物の心象を味わうのは小説がいいかな。
ダイナミックなストーリーを、RADWIMPSの楽曲とともに味わうなら映画かなと思います。
【引用】映画の音楽を担当してくれたRADWIMPSの楽曲たち。小説ではもちろんBGMはながれないけれど、RADWIMPSの歌詞の世界に、この小説も大きな影響を受けている。映画『君の名は。』においては音楽が担う役割は特におおきいのだけれど、それが映画・小説それぞれでどう演出されているか、確かめていただければ嬉しい【出典】汐文社『小説 君の名は。』P256 著:新海誠