アイデアホイホイ〜3分のヒマつぶし

入れて出す、3分間・・・アイデアを、だよ?

アイデアホイホイセイレーン

『君の名は。』小説版と映画版

本っていいですよね。
「今更?」ってのがないもの。

特に、名作として読み継がれている本には、それが薄くなっている。

小説『君の名は。』は2016年6月に角川文庫より刊行されたものなので、歴史は浅いですが、読み継がれていいなと思う。

映画はもとより、小説も極上のエンターテイメントでした。

【目次】

■ 『君の名は。』映画と小説の共通点

新海誠さんのこの作品は、年頃高校生男女の人格が入れ替わってしまうファンタージーです。

中学ではバスケをやっていて(高校では背が足りなくてやめたらしいが、有名選手だった)、喧嘩っぱやく、見てくれはかっこいいが、女子との会話はまるでダメな、東京暮らしの立花瀧(たき)。

一方、宮水三葉(みつは)は、山深く自然豊かな田舎町、糸守町に暮らし、町唯一の神社、そこの娘。お父さんは町長さん。

寝て夢を見ることがトリガーとなり、それぞれの人格は入れ替わります。
初めはただの夢なのかと、それにしてもリアルな夢だなと、いやリアルというか、なんだこの残された痕跡は?自分が夢を見ている間、相手が自分を生きている?

夢を見た後、現実の自分の記憶が1日分飛んでいることもあり、自分が相手を生きているときは、相手が自分を生きているということに確信をもっていきます。

その入れ替わり期間、お互いの様子は、メモや日記アプリで記録&確認。
三葉は、その女子力でもって瀧の人間関係(特に女子との)をアップデートしていき、瀧はキレる。
瀧は瀧で、三葉の体でクラスメイトのくだらない陰口を一蹴したり、バスケで大活躍したりで三葉もキレます。

異性の体に戸惑う姿はコメディそのもの。
入れ替わり生活にも慣れてきて、お互いの良さをそれぞれの体で活かしていく日々は、痛快で楽しい♪

でも、なぜ、こんなことが起こってしまったのか?

その大きな謎の真相に近づくにつれ、物語は、、、二人の物語は交差して…

■ 映画と小説の違い

【引用】本書『君の名は。』は、僕が監督して2016年の夏に公開されるアニメーション映画の小説版である。つまり映画のノベライズなわけだけれど、実はこのあとがきを書いている時点では、まだ映画は完成していない。完成まではあとまだ三ヶ月くらいはかかりそうである。小説版の方が先に世に出てるわけで、だからまあ、映画と小説とどちらが原作なのかと問われると微妙なところだ。

【出典】汐文社『小説 君の名は。』P254 著:新海誠

大きな違いとしては、映画は俯瞰の視点。
一方小説は、瀧と三葉の一人称の視点です。

それぞれの登場人物の心象を味わうのは小説がいいかな。
ダイナミックなストーリーを、RADWIMPSの楽曲とともに味わうなら映画かなと思います。

【引用】映画の音楽を担当してくれたRADWIMPSの楽曲たち。小説ではもちろんBGMはながれないけれど、RADWIMPSの歌詞の世界に、この小説も大きな影響を受けている。映画『君の名は。』においては音楽が担う役割は特におおきいのだけれど、それが映画・小説それぞれでどう演出されているか、確かめていただければ嬉しい

【出典】汐文社『小説 君の名は。』P256 著:新海誠

■ 忘れた気持ちを思い出させてくれる

瀧の世界の友だち、司と高木、奥寺先輩の関係。
三葉の世界の友だち、サヤちんとテッシーの関係。
今の自分にはない、学生時代の馬鹿騒ぎした友だちとの関係を思い出させてくれる。

そして何より、大切な人を失って、それでももがいて生きようとしたときの自分も思い出してしまいます。

どんな思い出も輝いていて、それが明るいほど寂しさつのるけど、そういうのを「一緒だよ」って抱きしめてくれるような物語が『君の名は。』なのかなっと。

映画でも、小説でも、ぜひぜひ、もう一度、味わってみてください。
「君の名は・・・」