小学校の先生である高瀬さんが、この夏休みまっぱつの記事、読書感想文を書こうとしています。
読書感想文というか「耳」読書感想文だし、今、どう書いたとしても、自分が小学生だった頃に書いた宿題のように、「はじめに」と「あとがき」を読んだだけで書けそうなものしかご提供できなそうなんだけど、それでも何だろう、書きたいのです。
今回、言いたいことは10秒もかかりません。
これ(『再生(仮)』聴くと、緒方恵美さんとマブダチになった気になれるよ♪
マジで。
たぶん、俺はもう友だちだと思う。めぐと。
とまぁ、なんにせよ、緒方恵美さんの『再生(仮)』は、読むよりも聴くのが超絶オススメの極上の一冊でありましたとさ。
【目次】
■ 蔵馬そのものの緒方恵美さんの声。しかし…
小学生の頃の高瀬にとって『少年ジャンプ』は「従兄弟のお下がりを読むもの」でした。
半年に一回ほど入れ替えられる、祖母の家にある数十冊の『少年ジャンプ』ストックを一気読みするというような。
そんな中でハマった漫画はたくさんあるのですが、その中でも『幽☆遊☆白書』は別格。
自分のお小遣いをはたいて、新刊が出る度、単行本で揃えていったほどです。
全冊買った初めての漫画でもあります。
好きなキャラクターはミーハーと言われてもしょうがないですが「蔵馬」。そう、「蔵馬 CV:緒方恵美」の蔵馬です。
漫画で読んでいたときから蔵馬が好きでしたから、アニメの『幽☆遊☆白書』を観たとき、「これが蔵馬の声か」と感激したり落胆したりしてもいいものだと思います。
でも、あまりに自然と耳に・心に入ってきて、今思えば、まるで元々知っていたかのように感じていたのだと、思い出されます。
今でこそ脳内で再生される蔵馬の声は緒方恵美さんの声以外の何物でもないですが、アニメを観る前、独り漫画で読んでいた時から、緒方恵美さんの声で再生されていました。絶対。
だから、そんな風に感じていたので驚きました。
【引用】蔵馬の演技に関しては、当時はただただ必死でした。もちろん精一杯頑張ったつもりでしたが、自分には表現しきれていないという想いが、常に心のどこかに有り続けていました。蔵馬は、男子高校生であっても、中身は何百年も生きている妖怪で、人間として練れている老獪な部分がある。そうした人間像はまだ若かった自分には遠くて、彼の性格や生い立ちを一生懸命考えて芝居に落とし込んでも、なかなか届かない。本当ならもっと余裕がある、ベテランの人がやらなければいけない役だったのではないかという問いが頭をよぎっては、払拭するように没入していました。
【出典】角川書店『再生(仮)』著:緒方恵美
そのものだと思っていた蔵馬を演じるのに、緒方恵美さんが「自分ではない」と感じていたなんて、と。
達人のような人も、そうだったんだ、と。
自分も、、、若い頃、、、そうだったなぁって。
いや、緒方さんと違って、本当に「お前じゃない」って周りに思われてたかもしれないけど、自分で思ってた。
「この教壇に立つのは、自分じゃないな」
■ 「人の自伝なんて」でも緒方恵美さんなら
ところで「人の話より自分の話」なんて駄目な感じの私ですから、自伝・伝記はほぼ読みません。
「エジソンの伝記?いや、エジソンだからできた自慢話きいても」
「スティーブ・ジョブズの生涯?自分の人生とかけ離れすぎて、何も感じないでしょう」
食わず嫌いもいいところですね。
ただ緒方恵美さんの話は聴きたいかな、と思ってしまった。
理由は一つ。
声が好きすぎて、というのもあります。
実は緒方恵美さんが朗読されているミヒャエル・エンデの『はてしない物語(上・下)』も聴いていました。
ただ、もっと強烈な理由があります。
緒方恵美さんが、ご自分で書かれたものを朗読するとどうなっちゃうんだろうか、と。
素の緒方さんを感じられるのではないか。
自分の話を語る友だちのように、緒方恵美さんを感じられるのではないか。
その目論見は、私にとっては当たりました。
聴けば聴くほど、緒方さんを知れて、自分だけに語りかけてくれているように感じ、そして、身近に思えてしまう。
まぁ、幻想なんですけど。
この幻想が、オーディオブック『再生(仮)』の一番の面白さです。
ただ、オーディブル版だけに収録されている『「おわりに」のおわりに』を聴いて笑っちゃったよね♪
【引用】えぇ改めて、自分の本を読むということは、普通の朗読とはまた全然違うので、気持ちを入れすぎても気持ち悪いし、かといって、淡々と読み過ぎるのもおかしいし、「微妙なさじ加減はどこか」と思いながらですね、探りながら読んでいたので…
【出典】角川書店『再生(仮)』著:緒方恵美
だよね、と♪自分の文章を読むにしたって素であるわけないよね、と。
ただ、この『「おわりに」のおわりに』は、かなり素の緒方さんを感じてしまいました。
「やだぁ~、めぐったら!もう♪」
またまた、こりない私です。
■ 共感する?いや、共感される
「いやいや高瀬さん。結局『耳読書こそオススメ極上の一冊「再生(仮)」』なんて言っても、あなたが緒方恵美さんファンなだけでしょ?」
うん、そう。元も子もないけど、そうです。
でも、この『再生(仮)』には不思議な力があります。
端的にいうと、「共感される」というか。
先ほど感じた幻想ゆえの副産物というかね。
普通、
・読み手にとって読書というのは、
・聴き手にとってオーディオブックというのは、
「共感する」ものであって、「共感される」ものではないはずです。
でもなんだろう、緒方さんが語りかけてくれているはずなのに、自分が話たことを緒方さんが受け入れてくれたような錯覚を起こさせる。
このオーディオブックには、そんな力があるんです。
「読書とは、著者との対話である」なんてよく言われることですけど、きっと、緒方恵美さんの声を聴きながら、ずっと対話していたんでしょうね、私。
「蔵馬を演じるのに力不足だと思ってたの?あぁ、俺もさ、始めて学級担任を持ったとき、この子たちの担任が自分じゃなかったら、どれだけこの子たちのためによかっただろうって感じてて…」とか、
「コロナのとき、そんな風に踏ん張ってたんだ。自分も教師として、子どもたちが学校に来る意味って何なのかなんていう疑問をつきつけられてさ…」とか。
友だちのように、「それでよかったんだよ」「あなたはそこにいていいんだよ」と、緒方さんは言ってくれるのです。
■ あなたにとってのエヴァがある
緒方さんは「あなたにとってのエヴァがある」という話をされていました。
【引用】そして、2021年。ついにあの作品が、完結を迎えました。『シン・エヴァンゲリオン劇場版』。この本が出ている頃には、きっと……少なくともこの本を手にしてくださるような方々はご覧いただいているのではないかと思うのですが(笑)、いかがでしたでしょうか?きっと今頃、いろいろなシーンを想い、意見や考察が交わされていることだろうなと、勝手に思っています(笑)。聞きたいような、聞くのが怖いような、そんな気持ち。でも、それこそが『エヴァンゲリオン』。すべての方のご意見が、その方にとっての『エヴァ』という作品なのだと、今は思います。
【出典】角川書店『再生(仮)』著:緒方恵美
改めて、耳読書こそオススメ極上の一冊『再生(仮)』。
緒方恵美さんの書籍です。
ご本人緒方恵美さんによる、緒方恵美さんのお話を聴いているうちに、なぜか、自分が緒方さんに共感されているような、自分が受け入れられているような、そんな心持ちにこの本『再生(仮)」は、してくれます。
本人がボロボロになりながら、「一緒に歩いていこうぜ」なんて言ってくれるマブダチができる。そんなオーディオブックに、私は初めて出逢いました。
これを出すために尽力してくださった全ての方に感謝しかない。
ぜひ、あなたも聴いてみてください。
あなただけの『再生(仮)』があって、あなただけの人生を歩むエールが聞こえてくるはず。
ぜひぜひ♪
知・ら・ん・け・ど。