目から涙が流れていることに気づいたのは、いつだったかな。
眼鏡を置いて。本を置いて。机の上が楽譜にまみれていて。
我が家は音楽家一家ではないのですが、娘が学校でよく伴奏を頼まれるので、練習中の楽譜が机に置かれていることがよくあります。
そんな中で読んでいたことにも、今気づきました。
舞台はヴェネツィア。作曲家、アントニオ・ヴィヴァルディ先生が亡くなるところから始まります。
ヴェネツィアの慈善院「ピエタ」を教育面で音楽面でと支えてくれていたヴィヴァルディ先生。その先生が亡くなったのが、なぜかヴェネツィアではなく、そこから遠く離れたウィーンであった。
語り手である主人公は、エミーリア。ピエタに捨てられた赤ん坊だった彼女は、同じ境遇であるアンナ・マリーアと共にヴィヴァルディ先生にお世話になる。
時がたち、音楽に対する天性の才があったアンナ・マリーアは、ピエタの院長に次ぐ地位〈合奏・合唱副長〉となり、エミーリアは演奏家から離れ、運営面でピエタを支える存在となっていった。
そんな中、もたらされた恩師の訃報。
偉大な存在の死によって、様々なものが共に時を止めそうなものだ。
しかし、ヴィヴァルディ先生の魂に導かれるように、1つの失われた楽譜を探すところから、エミーリアの隠された過去が動き出す。
逢うはずのなかった人との出逢いが、逢うべくして逢ったのだと思える。
それこそ、魂に導かれているような。
涙が流れていた理由を言葉にできません。
あなたも泣くかな。
人には話せない思い出がある。
様々な味の思い出が。
そんな思い出があるあなたに読んでみて欲しい。
私の場合は、40をとうに過ぎてから読めてよかった。
ヴィヴァルディさんの曲って、もしかしたら卒業しきなどでよく流れている曲かしら。
ちなみにオーディブルで聴くのもオススメです。
音楽とともに、小泉今日子さんが朗読してくれますから。
【PR】Amazonのリンクです。
文庫版↓
https://amzn.to/425Khpk
オーディブル↓
https://amzn.to/4ksxPXX