児童文学の名作『モモ』をはじめて読んでます。
あ、聞いてます。オーディブルで♪
名探偵コナンの高山みなみさんが朗読です。
作中にメガネの少年が出てきたりするのですが、その子の声がまんまコナンの声色を使ってらっしゃって、ちょっと笑いました♪
「らぁぁぁぁん!」って叫んでほしい。
はい、今回は『モモ』から、道路掃除夫ベッポじいさんのお話。
■ 無口な道路掃除夫ベッポじいさん
ベッポじいさんは、モモの親友です。
モモは人の話を聞くのがとても上手で、話しを聞く度、相手の心をとかしていくほど。
他の人はベッポじいさんのことを「無口で分からない。頭がすこしおかしいんじゃないか」と考えています。
まわりがそんな風に思う人であっても、モモはゆっくり、時間をかけて、話をきくので、相手のことをよく理解できるのです。
無口なベッポじいさんのことをよく理解し、モモは大好きでした。
そしてこのときも、
「なぁ、モモ、」
とベッポじいさんは話し始めたのです。
■ ベッポじいさんの話
【引用】「とっても長い道路を受けもつことがよくあるんだ。おっそろしく長くて、これじゃとてもやりきれない、こう思ってしまう。」
彼はしばらく口をつぐんで、じっとまえのほうを見ていますが、やがてまたつづけます。
「そこでせかせかと働きだす。どんどんスピードをあげてゆく。ときどき目をあげて見るんだが、いつ見てものこりの道路はちっともへっていない。だからもっとすごいいきおいで働きまくる。心配でたまらないんだ。そしてしまいには息が切れて、動けなくなってしまう。こういうやりかたは、いかんのだ。」【出典】岩波書店『モモ』著:ミヒャエル・エンデ 訳:大島かおり 朗読:高山みなみ
ベッポは考え込むのですが、モモはじっど待っています。
じっと、じっと。
【引用】「いちどに道路ぜんぶのことを考えてはいかん、わかるかな?つぎの一歩のことだけ、つぎのひと息のことだけ、つぎのひとはきのことだけを考えるんだ。いつもただつぎのことだけをな。」【出典】岩波書店『モモ』著:ミヒャエル・エンデ 訳:大島かおり 朗読:高山みなみ
そしてベッポはまたひとやすみ。モモは口をはさむようなことはしません。
【引用】「するとたのしくなってくる。これがだいじなんだな、たのしければ、仕事がうまくはかどる。こういうふうにやらにゃあだめなんだ。」【出典】岩波書店『モモ』著:ミヒャエル・エンデ 訳:大島かおり 朗読:高山みなみ
■ 家族とともに鬱になった私
モモと一緒じゃないと、きっとベッポじいさんの話を最後まで私は聞けないのだろうと思います。
ベッポさんは隠れた哲人ですよね。
その哲学を聞き出すことができるんだから。モモの聞く力はすごい。
ところでベッポさんの話で、私は感じるところがあります。
家族とともに鬱になったときが、ちょうどこんな感じでした。
<そしてしまいには息が切れて、動けなくなってしまう。>
終わらない悩みに疲弊し切り、自分をなんとか動かしていた何かが切れて、動けなくなってしまう。
何かあれですよね。マリオネットの糸が切れる感じ。
脅迫的な何か、思い込みに操られているイメージ。
「~すべきだから」
「~であってしかるべきだから」
ああ、この先で今の仕事が終わるんだろうか。。。
先を憂い、今を生きられていないから、自分自身を生きられない。
存在もあやふや・・・
でも、今なら思う。
あのとき糸が切れてよかった。
一歩一歩、自分で歩み出した気がする。
1年生きてノルマを達成するのはとても大変。
1月生きて月のノルマを達成するのは大変。
1週間生きて仕事に通い続けられるか、ちょっと分からない。
でも今日1日だけ生きることなら・・・できそうだ。
朝起きたら、今日だけは生きよう。
そう思うことにしました。
よかった、あのとき、あの日を生きてくれて。
あの日を生きてくれた自分に、今日を生きられる喜びに感謝をして。
メリークリスマス。
私は、今、幸せです。