インフルエンザにかかった日のことを覚えている。 いつだったか…あれ?いつだったっけ? 忘れるわけもない。 この日は冬休み明けの中学登校日で、宿題を持っていかなければいけなかった。 地理の宿題で、地元のことについて調べたことを新聞か何かにしてまとめなければならず、前日深夜、白紙のままだったそれにショックを受け、憂鬱に眺めていたら気持ち悪くなってきたのだ。 気持ち悪いなら寝なければいけない。 (早く起きてやればいいや)現実逃避をしつつ眠りに落ちた。 ショック寝である。
ドーン めちゃくちゃ揺らされている。
アフロ「ちょっと待ってや!母さん!!判った!起きる。起きるから!そこまで激しくせんでも!確かにごめん、地理の宿題はやってへんし、早く起こしてっていったけども…」 アフロ母「………」 いつもなら「アフローーーーーーーー!!起きっ!!」 と町内全域に聞こえるような甲高い声が響くだけなのだが、 部屋全体を揺らし、家全体を揺らしているかのような起こし方をする母に狂気じみたものを感じた。 アフロ「や、やめてくれぇぇぇぇ!これから宿題ちゃんとしますぅぅぅ」 ガタガタガタガタ…カタン 揺れが収まった。 アフロ「あれ?」 母はどこみも見あたらず、部屋の異変としては百科事典が全部落ちて、頭の上にあったCDコンポが枕の上に転がっている。 そしてまた、 ドーーーーーン 後にこの母の揺れを、阪神大震災と人は呼ぶことになる。 揺れがおさまり、カチャ、戸が開いた。 アフロ母「アフロ、大丈夫?」 アフロ 「なんや、地震か。お母さんが揺れとんかと思ったわ」 母「んなわけないやろ」 ア「それよか妹は?」 母「あぁ、まだ寝てる」 ア「ね、寝てる!?あの揺れで?(震度6強)」 母「あの子、大物になるで。誰に似たんか知らんけど」 ア「母さんの声やったら一発で起きるのに…」 母「そういえばそうやなぁ…」 ア(妹にとって地震より恐怖なんや、母さんの声が) 妹「お母さん…しんどい」 母「えっ!どうしたんよっ!」 ア「あ、俺も俺も」 母「あんたは宿題してへんからやろっ!どないしたん?」 妹「頭がくらくらするぅ」 ア「俺もっ」 母「うるさいっ!宿題しなさいっ。ちょっと熱計ってみる?」 妹「うん」
体温計を脇にさし、しばらくして目盛りを見る母。 母「えっ!高熱やんっ。病院いかんとっ」 ア「俺も計るっ」 母「はっ?…うん、まぁ計ってみ」 振られた体温計を渡され脇にさす。少しこすりながら… 母「うそやっ!あんたも高熱やんっ!!」 電話で学校に連絡しようとするも、うんともすんとも言わない。 母「とりあえず、おばあちゃんの家にいって休んでなさい。」 妹「ハイ…」ア「あい♪」 でも、この後ばあちゃんに病院に連れて行かれるんだけど…その話はまた後で。