■ 苦しい恋をしているあなたに1
前回、仲良くなるためには共通の部分が必要だという『類似性による親近効果』のお話と、 恋に落ちるためには逆に『違い』が必要だという『自己拡大』の話をさせてもらいました。 (参考「苦しい恋をしているあなたに1」) そして、恋が冷めてしまう原因も、恋に落ちる原因と同じなんです。
■ 恋が冷めていく原因
そう、原因は『違い』。 相手に感じていた魅力的なものが、いつのまにかやっかいなものに感じてしまう。 恋に落ちたときと同じものであるのに。 「なんて大きな夢に向かっている人なんだろう」だったものが、 「夢見がちすぎ。もっと現実を見てほしい」に。 「なんて情緒豊かな人なんだろう」だったものが、 「情緒不安定すぎ、ヒステリーはやめてほしい」へと変わってしまう。 摩擦が起こり痛くなって離れ、恋が冷めていくときに人はいいます。 「あのときはそんな人じゃなかったのに」。 確かに相手は変わってしまったのかもしれない。 でも一番変わったのは、自分の見方です。 ここ最近の記事で何度も出てきていて申し訳ありません。 「メガネ」、つまりパラダイムが変わったんですね。 (パラダイムについては「パラダイムとは?幸せとは?」を参考にしてください) NLP(神経言語プログラミング)の世界では『リフレーミング』というようです。
【引用】リフレーミングとは、「認知の枠組みを変える」ための技法、わかりやすく言えば、「経験したことや行動の意味づけを変えること」です。 【出典】三笠書房『一瞬で自分を変える法』 著:アンソニー・ロビンズ 訳:本田健
世の中の出来事はすべて、あなたの意味づけ次第です。 相手の魅力も、自分の見方次第で欠点にもなる。 恋の炎が大きければ大きいほど、その炎に身を焼かれます。 違いが大きければ大きいほど恋し惹かれますが、摩擦も大きいのですね。 でも恋の場合は身を焼かれも大丈夫。 摩擦が大きければ大きいほど、その後に現れる自分はツルッツルの新しい自分です。 苦しければ苦しいほど、耐える価値がある。
■ 離れる?変える?変わる?それとも…
摩擦が起こりだしたと感じたとき、自分を磨くためにはどうすればいいでしょうか? 相手との摩擦は苦しいものです。 どうしても逃げたくなってしまう。 でも、離れたところで石が動いていて研がれる刃なんて、聞いたことがありません。 自分が粉々になってしまいそうなら別ですが、終わりにしてしまうのはもったいない。 では相手に変わってもらうというのはどうでしょう? 「あなたが変わってくれたらいいのよ!」 摩擦で研がれるはずなのに、自分がどんどんザラザラになっていくようなものですね。 相手を研ぎ続けるために、摩擦を激しくしては苦しくなる一方です。 自分の愛する人に「これさえ変わってくれれば…」そう完璧を求めがちですが、 やっとこさ変わってくれても、欲望は尽きないもの。 また新しい「これさえ…」が出てきます。 そして仮にも欲望が出てこなかったとしても、変わってしまった相手に魅力を感じることができるのでしょうか? 自分との「違い」に魅力を感じ一緒になったんです。 その違いがなくなってしまったら…。 では自分が変わりきってはどうでしょう? 「私が全部変わればいいの。彼に合わせればいいのよ」 自分は変わらないといけないんだ…そう感じているとき、あなたは自分のことを愛せているのでしょうか? 自分を愛せなくなる関係は、非常に危険です。 それに、仮に相手の思うような自分に変われたとしても、先ほどと同じ事が起こります。 そう、「違い」が無くなることは、魅力が無くなることなんですから。 では、どうしたらいいのか? 「それがいいところでもあるのよね」 相手と自分との違いを認めてあげてください。 相手もいい、あなたもいいんです。 自分を抑えつけるのをやめ、相手を変えようとするのもやめる。 相手のこと、もしくは自分のことを受け入れられなくとも認めてあげる。 「今は受け入れられないけど、いつか受け入れるからね、ごめんね」 人は違って当たり前。欠点があって当然なんです。 長く一緒にいればいるほど、相手も人であること忘れてしまいがち。 恋を思い出すきっかけは、違いを尊敬しあおうとするところにあるのではないでしょうか。
【引用】私たちは愛する相手から愛情を得よう、幸福を求めようとするが、結局それは自分の内面から生まれるものなのだ。(中略) 人生を豊かなものにする大事な基本は、人と自分とは違うことを認めること。私たちは自分とは異質な人に引きつけられるのだから。 【出典】三笠書房『ベストフレンド ベストカップル』 著:ジョン・グレイ 訳:大島渚
■ 固い絆が生まれるとき
苦しい状態を二人で乗り越えた後にもらえるものがあります。 それは、とても固い絆。 『認知的不協和』として、心理学でも証明されているみたいですよ。
【引用】人間は、気持ちの中に不協和(矛盾のようなもの)を抱くと、ついそれを解消するために、考え方を変えてしまうものです。これを「認知的不協和」と言います。 【出典】インデックス・コミュニケーションズ 『マンガ大人の心理学』著:ゆうきゆう 画:OXygen
ほら、洋画なんかでピンチを共にしていくうちにヒロインとヒーローが恋に落ちていきますよね? あれが自然と受け入れられるのは、無意識のうちにそういう心の機敏に共感できるところがあるからです。 「なんで私、こんな思いをしてこの人と一緒にいるんだろう?」 そう考え、心に不協和が生じたときこそ確信できる感情があるのかもしれません。 「あぁそっか。愛しちゃってるんだな、あの人のこと」 何も問題のない恋なんて存在しません。 夫婦だろうが、大人同士だろうが、学生同士だろうが関係ない。 その人同士のいかんともしがたい問題があるはずです。 でも、その問題こそが二人の絆を深めてくれるんです。 あなたの人生を豊かにしてくれるんです。 問題のない恋が必ずしも素敵だとは限らない。 愛が冷めたのなら、また、違いを愛するところからはじめてみませんか? あなたにとって素敵なことが起こるかもしれません。 二回にわたりお付き合いいただき、ありがとうございました。 あなたによき恋が舞い降りることを、あなたが自分の恋を愛せることを願っております。