■ 脳は変化を恐がっている
ダイエットに限らず何かを変えたいとき、一瞬で大変化できる方法があったら、人はそれに飛びついていきます。 僕もそうです。 自己啓発の本をむさぼるように読むのは、その読後に 「あっと驚くような大変化が自分に訪れるかもしれない」 そうどこかで考えているから。 でも今までの経験上、自分に大変化が起こった…とはいえません。 それもそのはず。 脳がそんな大変化を嫌っていたのだから。 今日も講談社から出ている『脳が教える!1つの習慣』、ロバート・マウラーさんの著作からの出典です。 さて、いったいなぜ脳が変化を嫌っているのか? 時は人類が哺乳類たちと一緒にジャングルを歩き回っていた時代へさかのぼります。
■ 脳が変化を恐がるのは生き抜いていくためだった
その頃の人類は常に危険と隣り合わせでした。 いつ猛獣に襲われるかわかりませんし、襲ってくる猛獣は自分たちよりも速い脚を持ち、夜目が利き、わずかな音も察知して、攻撃力のある鋭い爪、鋭い牙で襲ってきます。 勝てるわけがありません。 それでも生き抜いてこれたのは、ある特徴が人類に備わっていたからです。 なんだと思いますか? それは『臆病さ』です。 はじめての場所に一人でいくのをためらうのは、 「ライオンに襲われるかもしれない」 「安全かわからないんだから、もっと人がいるときにしよう」 生き抜くためにその『臆病さ』が必要だったからです。 危機に直面したとき、逃げるための身体能力を妨げる機能を脳はストップさせるそうです。 それはそうですよね。 ドドドドドドドド!! ライオンがこっちに向かって走ってきているのに、頭の中で 「う~んと、この場合はどうするのが一番いいんだろうか?」 なんて考えていたら即死です。 何も考えずに逃げないと。
■ 現代の危機はライオンではなく変化
これが脳の機能として今も残っているんです。 つまり、いつもと違う安全な自分から変わろうとすると、脳が臆病さを発揮し、恐怖心を起こさせ、思考を止めてしまうんです。
【引用】脳は、新たな挑戦、チャンス、欲望によって、ある程度の恐怖心が起こるようにできている。 【出典】講談社『脳が教える!1つの習慣』 著:ロバート・マウラー 監訳:本田直之 訳:中西真雄美
だから、理性では「禁煙をした方がいいに決まっている」と判っていても、 今までの自分が心地良いので(安全地帯なので)、変わることに(危険な場所へ行くことに)脳が恐怖心を起こさせてしまい、変化を止めてしまうんですね。 本当は行く先が危険ではなく、安全に決まっている場所であったとしてもです。 ダイエットだってそう、勉強だって、堅実な自分、穏やかな自分に変ることだって、新しい職場に行くことだって、脳は変化を恐がるんです。 石井裕之さんはこのことを『潜在意識』という言葉で説明してくれています。
【引用】「潜在意識はできるだけ現状を維持しようとする」(中略) 誰だって大金持ちになりたい。でも、もし一夜にして急に大金持ちになってしまったら、生活環境の激変に耐えられずにキミの心はおかしくなってしまうかもしれない。 【出典】祥伝社『ダメな自分を救う本』著:石井裕之
宝くじに当たって三億手に入れた。 やれ寄付の電話がかかってくる、知りもしない遠い親戚から連絡が入ってくる。 三億を守ろうとするばっかりに人を信用できなくなり、ケチになってしまう…。 人との関係を絶ち、生きる力をいちじるしく落として、自分を危機的な状況にするかもしれない変化を潜在意識、脳が受け入れられるわけもありません。
【引用】異常な成長で一気に大きな年輪を刻む木は、その後の風雪に耐えることなどできないのです。 【出典】あさ出版『日本でいちばん大切にしたい会社』著:坂本光司
「やばい変化が来た!変化から守らなきゃ!!」 ガラガラガラぴしゃんっ。 防壁があなたの周りに下りてしまいます。 ではどうしたらいいんでしょうか? 「変わらずにいろってことか!?」 そんなことはありません。 次回は、脳が恐がらず、潜在意識が認めてくれる変化の方法をご紹介させてください。