うちのディテ(嫁)さんは、危険を回避するために先手を打つことがしばしばある。 (結婚式の前に先手を打って招待状を出す、寝る前に目覚ましをかける、寝る前にトイレに行く、寝る前にオムツをはくなど) それに助けられることもあるのだが、しばしばやりすぎるところある。 やりすぎは私に対するリスクヘッジのときによく現れるのだ。 たとえば、以前私が大幅に髪の毛を切ったのにディテさんが気づかなかったことがあった。いつも逆の立場のときに言われている、 「そっか…別にどうでもいいよね、私の髪型なんて」 というのをそっくりそのまま、いじわるに笑いながら言ってやったことがあるのだ。 それからというもの、髭を剃っただけで、 「あれ?感じ変わったね。髪切った?」 眉毛を抜いてみただけで、 「なんかさっぱりしたね。髪切った?」 という。 もしかしたら髪切った?という疑わしいときに言うなら、まだ判らんでもない。 しかしヒドいときなどは、お風呂に入って顔を洗い出てきただけで、 「ちょっと男前じゃない?昼間もしかして髪切った?」 という。この調子でいけば、歯を磨いただけで言われそうな勢いである。 逆に整形したとしても、髪切った?、ですみそうな感もないことはない。 こんなこともあった。 カレーを作ったときだ。男というのはなんだかしらないが、やりはじめるとコリ出すことが多い。 この日もカレーを圧力鍋やらなんやらをくしして、ゴロゴロ角煮の転がるポークカレーを作った。 するとディテさん、スプーンでカレーを口に運び、 「おいしぃ~!あっ、口に入れる前に言っちゃった!?」 ふざけんな、と責めてみると、 「ちゃうねんちゃうねん、ほら、匂いが美味しいって意味やって! あっ、判った!美味しそうって言おうとしたんだ!!そっかそっか」 変な関西弁を使いながら言い訳をするわ、自分の言い訳に納得するわ、むちゃくちゃである。 『アマルフィ~女神の報酬』を観にいった。 これを観にいったのだってイタリアへ旅行に行くための事前学習だったのだが、ディテさんの感想はこれだ。 「アマルフィ海岸がスクリーンに映ったとき、思い出しちゃって泣いちゃった。まだ行ってないけど。」 そして映画の最後、織田裕二が次回作の伏線をはるようなセリフをいう。それに対しても、 「次回作は、南米編かな?だったら観よっ♪ 観る前に行っとこっ!南米♪」 事前学習が行われる予定もまだ決まってないのに、事前学習の事前学習に数十万もかけようとする嫁。 嫁イズ最速…アンド最強。