快楽を強めるには「慣れ」と上手につき合わなければいけない、というのが前回のお話でした。 今回は「味わい」と「注意深さ」についてですね。 快楽を強める、高める…瞬間的な幸福の量を増やす具体的なテクニックとして『世界でひとつだけの幸せ』で述べられていることは5つです。 まず一つ目、他人と分かちあう。
■ 快楽を味わう1「他人を分かちあう」
【引用】経験を共有する相手を見つけ、この瞬間をいかに大切に思うかを相手に話す。これは快楽を培っていくうえで、最高の判断材料となる。 【出典】アスペクト『世界でひとつだけの幸せ』P161 著:マーティン・セリグマン 訳:小林裕子
友だちと呑むにしても、 「やっぱこういう飲み会がないとね♪」 「そうそう♪」 と楽しさを共有するのってすごく大切だと思います。 「悲しいことは二人で半分。楽しいことは二人で二倍」 なんてのはほんとその通りで、人を楽しいイベントに巻き込む人は快楽上手ですね。 一人で美味しいものを食べるより、二人「美味しいね」といいながら食べるのが快楽をより味わわせてくれます。
■ 快楽を味わう2「記憶する」
【引用】イベントにまつわる心温まる写真を撮ったり、記念品をもち帰り、あとから他人とそれについて思い返す。 【出典】アスペクト『世界でひとつだけの幸せ』P161 著:マーティン・セリグマン 訳:小林裕子
大好きなバーベキュー大会があるのですが、そこでは毎年恒例でタオルが配られるのです。 マフラーのようなタオルで普通のタオルより細長いのですが使い勝手がよく、いつもお世話になっています。 何より、このタオルで思い出すことが「そのときのよき思い出」なんですよね。 素敵な記憶をものに宿すという意味で、形ある記念品を買うのは快楽を味わうのに効果的です。 記念品が無いときは、記念写真です。 携帯電話に残る写真を見返すだけで、僕の携帯はよい思い出がよみがえらせてくれます。
■ 快楽を味わう3「自分を祝福する」
【引用】自分が他の人たちをいかに感動させたかを言い聞かせ、こうなることをどれほど待ち望んだか思い出す。 【出典】アスペクト『世界でひとつだけの幸せ』P161 著:マーティン・セリグマン 訳:小林裕子
「あんな会が開けてよかったなぁ」 「あんな仲の良い友だちがいるなんて、自分はすごいわ」 「あの人、すごく笑ってたよ。よかったよかった」 高校のときの文化祭のテーマは「楽しみ楽しませる」でした。いいテーマだなと今ならより感じられるのですが、当時は「いいね」ぐらいにしか思っていませんでした。 人を楽しませるには、先に自分が楽しんでないといけないと思うのですね。 自分の持っているポットがカラなのに、人に水なんて注げなません。 不思議なことに誰かを楽しませると、倍自分もさらに楽しくなってしまいます。水をあげたのに増えている、みたいな状態。 そしてそんな状態をより味わうのが、「自分をほめる」です。 「いやぁ、結構うまくいったな。」 「人とこんなにご飯を楽しく食べられるのって才能やで」 どんな小さなことでも、自分をほめてみませんか? 心地よく楽しいです。
■ 快楽を味わう4「知覚をとぎすます」
【引用】特定のことだけに集中し、外部からの刺激を排除する。 【出典】アスペクト『世界でひとつだけの幸せ』P161 著:マーティン・セリグマン 訳:小林裕子
楽しい時間を過ごしていても、 「今やっていることは本当に楽しいことなんだ」 「自分をわくわくさせてくれることなんだ」 としっかり意識していなければ、楽しさは半減してしまうでしょう。 「あぁ、あの時が私にとって幸せな時間だったんだ」 では悲しすぎます。 そして、楽しいと意識した「今」に集中する。 それは、次の没入にも繋がってくるのですが…
■ 快楽を味わう5「没入する」
【引用】自分を滅し、なるべく思考しないようにし、感覚だけをとぎすます。やらなければならないことがあっても他のことは考えないようにし、これから何が起こるかを期待し、物事がどう進展するかに没頭する。 【出典】アスペクト『世界でひとつだけの幸せ』P161 著:マーティン・セリグマン 訳:小林裕子
「あぁ、後2時間でディズニーランド閉園だ…」 「もう、電車の時間が迫ってる…帰らなきゃ…」 自分もやりますが、もったいないことです。 知覚をとぎすますためにも、今に集中しないとせっかくの快楽が台無しです。 他のことを考えていては、快楽を味わえません。 また「聞き上手」は、その人の話をひたすら聴くだけで、「何を話してあげようか?」などと考えない人といわれます。 この聞き上手な人は、快楽上手ともいえるのかもしれません。 その時、その瞬間に自分の感覚をとぎすまし、その人の話に「どんな話が出てくるのだろう」と没入できるのだから。 ちょっと自分への自戒の意味もこめて、セリグマンさんの「快楽を味わう5つの方法」を元に述べさせていただきました。 没入するといっても、自分に没入していくとまたまた大変なことになるようです。 快楽も度が過ぎれば「あのラット」と同じになってしまうのでしょう。 次回は快楽とは違う「充足感」についてです。 最後までありがとうございました。