ホンマでっか!?TVでもおなじみ? 教育評論家の尾木直樹さんのお話を先日聞いてきました。 あなたは便所飯(べんじょめし)ってご存じですか?
■ 便所飯とは
初めて聞いたときはベンジョムシと聞き間違いました。 便所飯?なんのことだろう。 便所飯とは、要するにお昼ご飯をトイレの個室で食べることなんです。 尾木さんも都市伝説のたぐい…本当にある話ではない…そう思っていたそうですが、法政大学の男子トイレの個室に 「弁当食べるな」 という張り紙があった。 尾木さんは授業の最後に感想…というかリアクションペーパーというのを大学の学生さんに書いてもらっているらしいんです。 ある時、二人の生徒が同時に 「学生食堂に一人で入れるわけないでしょ!」 とペーパーに書いて来ました。 そしてホールで行う授業の後、改めて聞いてみたそうです。 「あなたはトイレの個室でお昼を食べていますか?」 400名のリアクションペーパーが集まったら、9名、トイレで食べていると…。 便所飯は本当になされていた行為だったんですね。 でもいったいどうしてトイレで…。
■ 一人で食堂に入られない
女性に多いと思うのですが、一人で居酒屋に入れないことってありませんか? ファミレス、レストラン…そんなところも一人でいけない人は少なくはないでしょう。 便所飯をする方の心境は、おそらくそれと同じです。 なぜ一人で居酒屋に入れないのか? ・居酒屋は一人でいくところではない ・女一人じゃ、男あさりに来たのかと思われる… いろいろ理由を挙げられると思いますが、どんな理由でも突き詰めれば 「周りの目が気になる」 ということにおさまるのではないでしょうか。 「誘う人もいないのか」と周りに見られるのが嫌…とかね。 下は便所飯をしている生徒さんに、尾木さんが直接聞いた話です。
「お昼ご飯を一人で食べられないのは、 友だちがいないと思われるのが怖いんです。」
あまりに周りの目を気にするがゆえ、誰も見ていない場所、トイレに隠れてご飯を食べる。 この問題は便所飯をする人たちだけの話ではありません。もっと広範囲に広がる問題です。
■ 大人の要求に気づいてしまう子ども
親にイイ子、先生にイイ子と呼ばれる子どもがいます。 成績も優秀、性格も良い。 非の打ち所がない…。 尾木さんは言います。
学部で一番の子、モラル、先生の気持ちで動ける人、こういう子が空洞化してしまう。ことごとく大学でつぶれちゃいます。
空洞化って何?というと、たとえば 「口が勝手にお母さん好みの言葉を発している」、そんな状態のことです。 優等生であり続けるために、イイ子でい続けるために、お母さんの望むことを言い、周りの大人の要求する姿を演じてきた。 そして気づくんです。 自分で自分の本当の姿が判らないことに…それが空洞化です。
■ 自己像はどこに…
便所飯という現象は、自己の空洞化という根本的な問題から出てきた副産物のようなものではないでしょうか? 私は便所で飯なんか食べない!! それはそうかもしれません。 でも、友だちとだから学食入れるのではないですか? レストランに行けるのではないですか? それはなくとも、 人の目を気にし過ぎる、他人の要求を満たさないと自分の存在価値が見いだせない…そういう人は多いような気がします。
【引用】あなたが人生を組み立てるにあたって、他人の視線に映る自分を最優先するのは間違いだ。 あなたは他人という曇った鏡を一生懸命にのぞき込み、よく見えない自己像を求めて葛藤の海に沈む。 【出典】マガジンハウス『無意識はいつも君に語りかける』P139 著:須藤元気
おしゃれな格好をする、マナーを守る… 健全な範囲で周りの目を意識するのはとてもいいことです。 でも自分の存在理由を周りに求めるのは少し違うかもしれません。 相手の中に自分はいません。自分は自分の中にしかいないのだから。 「これでいいのだ!」 自分で自分をそんなふうに思えたらいいのでしょうね。 では、そう思うためにはどうしたらいいんでしょうか? 疑問は疑問を呼びます。 本日も長い文章におつきあいいただき、ありがとうございました。