「ふぁ〜、疲れたぁ〜」
そんな一言で帰ってきます。
「おかえり〜」
「ただいまぁ〜」
息子とかわす挨拶。
「そんなに疲れた?仕事大変?」
「そ〜やなぁ。楽ではないわ。」
「なりたくないな、大人には。」
負けました。言わせてしまった。
お金稼いで、衣食住、教育費を払っていく。大事。
でも、大人になっていく未来に、希望を持てるようにすることも大事じゃないか。
疲れた姿勢、背中見せ続けて、誰が大人になりたいと思うよ。
ということで、負けた。
職業柄、負けるのは家でだけじゃないんですよね。
教職員、学校の先生、子どもに囲まれているのですよ。
一番負けたのは、中学で先生やってたときです。
担当する授業がない空き時間。
教室に入らない生徒と歩いていました。
「ついてくんなや」
「いや、壊すやん。学校のもん」
ガガーーーン
「ほら蹴った」
吹っ飛んだブリキのバケツを元に戻す。
「先生なんて絶対ならん」
はい、負けたぁ〜。
自分でもほんまにイヤやこんな仕事、なんて思っていた時期なので、反論もできません。
「だろうね」って感じです。
「あぁ、そう。ちなみになんで?」
「子どもに舐められ、暴れられ、殴られ。損ばっかりやろ」
本当にそうやな、と。
「まぁ、そう思うんやったら、ちったぁ暴れるんやめてくれんかいね。物壊すのも。」
「は?うっせぇ」
卒業のとき、担任してなかった私のもとにその子が駆け寄ってきた。
そして一言。
「迷惑かけてごめんね、先生」
「あぁ、達者で」
「次、小学校に異動だってね、先生。俺みたいに愛してくれる子に会えるといいね」
「愛してくれてたん?初めて知った。」
「またまたぁ。じゃね、先生!バイバ〜い」
今頃何してんねやろ、あの人。負けたわぁ。