アイデアホイホイ

とある先生、学びの記録(肺炎療養中)

『ザリガニの鳴くところ』読了。残念な男図鑑

1969年。湿地で、とある男の死体が発見される。
櫓(やぐら)のそばで発見されたこともあり、転落事故か、自殺か。
しかし、その死体の周り、櫓からは何も検出されなかった。不審なほどに。

殺人の罪を疑われたのは、主人公のカイヤ。
カイヤは村人から「湿地の少女」と呼ばれ、蔑まれ、トラッシュの1人として差別されてきた女性であった。

とまぁ、こんな感じで物語が進んでいくのが『ザリガニの鳴くところ』です。
もうひたすらカイヤがかわいそう。
父親世代の私は、この娘に感情移入して読むのが苦しいこと苦しいこと。

家族がどんどん家から離れていき、5歳になる頃には、父親しかいない。
その父親こそ、家族が家から出ていく原因で、アル中の暴力オヤジである。
もう家こそが安全地帯じゃない。
こんな父親ならいない方がマシ。カイヤ逃げてって、5歳で逃げられないよ。

「もうカイヤから何も奪わないでくれ」

そう思いながら読み進めていました。
男が死んだ1969年。カイヤは大人の女性になっています。
カイヤが子ども時代の話と、いったりきたりで語られていき、最終的には重なっていくという構成。

読んでいて苦しい。けど読んでしまう。
カイヤが救われてほしい。頼む、救われてくれ。
そんな願いでどんどん進む。

ところでこの物語、父親筆頭にほんと残念な男ばっかり出てきます。
情けない。

あれ?残念な男図鑑を読んでるんだっけ??

ただ、そんな残念男を描きまくっておいて、作者は「本物の男とは」を登場人物に語らせます。

【引用】本物の男とは、恥ずかしがらずに涙を見せ、詩を心で味わい、オペラを魂で感じ、必要なときには女性を守る行動ができる者のことを言うのだ

【出典】株式会社早川書房『ザリガニの鳴くところ』P70 著:ディーリア・オーエンズ 訳:友廣 純

これ2回出てきますから、相当言いたかったんでしょう。
出てくる残念な男たちとのコントラストがすごい。

これ、読むの苦しかったのは、カイヤの境遇のせいだけじゃないんだ。
自分もアホな男の1人だと突きつけられるから苦しかったんだ、私。

ただ作者は、生物の本能的な部分として、男の残念な部分も受け入れてくれている感じなのだけど、ね。

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