アイデアホイホイ

とある先生、学びの記録(肺炎療養中)

農業にたずさわる方に読んでほしい『香君』読了

「このご飯。やめた方がいいわね」
あたためたご飯が入っているであろうタッパーを右手に持ちながら、カミさんがつぶやく。

「どした?」
「なんか、におうのよ。やめた方がいい」

私が嗅いでも分からない。
でも、信じて食べないことにした。
我が家にもいたんだ。香君。

親戚に香君(かおるくん)という人がいる。
この本『香君』は(コークン)と読む。
上橋菜穂子さんの本です。

特殊な嗅覚を持つ少女アイシャが主人公で、冒頭から弟と一緒に追われている。
いきなりクライマックス。
15歳の少女。9歳の弟を連れての逃避。たくさんの武人に追われ、逃げ切れるわけもない。捕まる。
アイシャはその嗅覚で、人が気づけないことも察知してしまう。
食事に混ぜられた毒にも気づき、その毒を誰が盛ったのかすらも知る。
知りながらも、処刑は逃げられぬ運命と、毒入りの乳酒を飲む弟を看取る。
毒を盛った相手が窓の向こうにいるであろう場所に弟が飲んだ乳酒の壺を投げつけ、その窓に顔を向けたまま、自分も喉を鳴らしながら乳酒を飲み干す。

さて、
「なんで農家?なんで農業にたずさわる人に読んでほしいの?」

この物語はですね、生き神とされた「香君」という存在と、その神がもたらした「オアレ稲」をめぐるものなのです。
その香りを感じることで万象を知ることのできる神「香君」。

・香君とアイシャの関係は。
・オアレ稲の秘密が、どうして帝国を傾けてしまうの。

異世界の歴史に隠された大きな謎を知りたくて、どんどん引き込まれていってしまう。
毎度天下一品です、上橋菜穂子さん。

農家の人が読んだらどうなんだろう、と。

「そうそう、あるよねぇ」ってめちゃくちゃ面白いかもしれないし、
「現実はそうじゃないよ」ってなるかもしれない。

上橋菜穂子さんの作品は、『守り人シリーズ全巻』『獣の奏者外伝以外』『鹿の王』そして『香君』を読了しました。

もう「上橋菜穂子ファンです」って言っていいっすかね。
なんてことを考えていたら、カミさんが一言。

「なんか服からいい匂いがする」
私を見る。
「浮気?」

誤解です。助けてくれアイシャ。


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