『ごんぎつね』という名作がある。
■ 『ごんぎつね』あらすじ
いたずら好きの狐(ごん)と、兵十のお話で、国語の教科書にものっている。
兵十へのいたずらが過ぎて、悪いことしたなぁと感じたのか、兵十の家にこっそり山のものを届けるお話。
ごんだけど、ドンと兵十に撃たれて、そのとき兵十は気づく。
「ごん、お前だったのか。いつもくりをくれたのは。」
なかなか考えるところが多い作品だが、田舎に住んでいるとこういうことはよくある。
■ リアルごんぎつね
よくあるといっても、
ドン・・・
「田戸中さん、あなただったのか。いつも野菜をくれたのは。」
田戸中さんは、ぐったりと目をつぶったまま、うなづきました。・・・ではない。
もっと平和的な部分。お家に山のものが届くシーンである。
「高瀬さん、うちでいっぱいキュウリ取れたから、ちょっと手伝ってくれない?」
「えええ!立派なキュウリ♪うれしい、うれしい!!ありがとう♪」
「先生、レタス持ってって!ハネ出しだけど!」
「いいんですか!?いただきます!!」
季節のものがたくさん集まってくるので、実はうちも余るほどあるのだが、そんなことを言ってはいけない。
あげるも愛情、なら、もらうのも愛情なのだ。
正直いうと、くれなくなるのはもっとイヤだしね。
■ ふと現れるカボチャ
実際こっちの方が『ごんぎつね』に近い。
この間、家に帰ると玄関先に段ボールが置かれている。
物騒な世の中ではあるが、場所によってはノーマークで開ける地域もある。
うちがそうだ。
あけてみると、段ボールいっぱにつめられた坊ちゃんカボチャであった。
手紙は、無い。メッセージらしきものはなにもない。うちの奥さんも困った様子で、
「誰からだろう」
「・・・きっと、、ごんだね」
すかさず、ゴーンと殴られる。
「田戸中さんかしら」
「坊ちゃんカボチャといえば、そんな気がする」
「お返しにペットボトルでいいかしら」
ということで、気を遣わない程度袋に入れて、持って行くことにした。
ぴーんぽーん
「高瀬ですぅ~」
「あぁはぁ~い」
と、開く玄関。白い袋を突き出しながら、
「いつもありがとうございます♪」
「えっとなんだっけ??」
「坊ちゃんカボチャ!美味しくいただきました♪お礼にこれ!」
「いやぁ、去年の話なのに悪いねぇ♪」
「え?・・・そ、そうなんです♪美味しかったなぁ、あのカボチャ!」
と、なんとか話をつなぎ、ペットボトルをわたしてしまったのである。
まじで、ごん、お前だったのか?と言いたい。