お風呂。
それは身をさらけ出すことで、心も裸になれる場所。
うちの嫁ちゃんは「食事」を共にすることを大切にしている。
私はというと、お風呂を共に入ることを大切にしているのだ。
最近、娘とは入らなくなってしまったが、息子とのお風呂は続いている。
息子は体を洗っていたのだが、ふと、うつむき、動きを止めてしまった。
「どないしたん?」
何かイジめられたりしているのか。悩みでもあるのか。
色々な不安が一瞬で巡る。すると、息子は口を開いた。
「こわい夢を見たんだよ。」
夢か・・・ひとまずよかった。
「そっかぁ。どんな夢をみたんや?」
「お風呂でね、お父さんが言うの」
「え?なんか、今みたいなシチュエーションやけど」
「うん、今みたいな感じ。おちんちん洗ってると、『お前、まだ一本やな』って」
「・・・へぇ・・・。そんで、お父さん何本やったん?」
息をのんだ。
「三本」
!?・・・まじか。
父の威厳を示せた!ナイス俺、ナイス夢の俺!!
でかした。よく育てた。
「それで名前つけてた。」
な、名前?ってか、すんごい鮮明に夢覚えてるやん。
ただ、まれに見るしょうもない悪夢やけど・・・
そして、名前つけるて、アホなのか?
ムスコでええやん。ゾウくん、マンモスくんじゃあるまいし。
「どんな名前なん?」
「覚えてない・・・。怪物の名前っぽかった」
「キングギドチン、みたいな?」
「いや、違ったと思う。キングギドチン?」
「ええねん、キングギドラは。そんじゃ、ケルベロチン??」
「あ、それかも!ハリーポッターで出てきた犬だ!」
まさかのヒット。
「いやぁ、でもすごいよね。じいじとか、もっと分かれるんかな?」
「ヤマタノオロチン?」
「うわぁ、すごそぉ!それってさ、8つの首があるヘビやんね?日本の神話やん」
「分からないけど、首がたくさんある龍だったと思う!あ、でももっとすごいの思いついた!」
「え?なんやなんや?何思いついた??」
「九尾の狐!」
「妖狐か!妖狐チン♪」
「なんか、最後女の子みたいな名前になったね!」
「せやな」
ニコニコしながら、私はカウンセリングの終了を見たのだった。