「嘘」って身近な話題だから、「自分だって」なんて考えちゃいます。
『六人の嘘つきな大学生』著:浅倉秋成さん。
えぇ、面白かった。
■ 『六人の嘘つきな大学生』あらすじ
六人の大学生が、成長して勢いあるIT企業「スピラリンクス」の最終選考まで残ります。
集められた六人に告知された最終選考方法は『グループディスカッション』。
議題は「スピラリンクスが実際に抱えている案件と似たものを提示し、それを皆さんならどのようにすすめていくか議論--」といったもの。
「ディスカッションの出来によっては、六人全員に内定を出すという可能性も十分にあります。ただ我々が望むのは、互いの特性も、経歴も、弱点も知らないまま、壊れ物に触れるように怖々と進んでいく会議ではないんです。求めているのは、互いのことを隅の隅まで理解し合い、長所を最大限に生かし、一方で短所を補い合う、まさしくひとつの部署を、グループを、チームを結成して作り上げる、言うなれば『チームディスカッション』」
さらに告げられます。
「繰り返します。本番は一ヶ月後の四月二十七日。当日までに最高のチームを作り上げてきてください。内容がよければ内定は六人全員に出します。当日晴れてチームになった皆さんとお会いできることを、そして皆さんと一緒に仕事ができることを、心から楽しみにしています」
こうして、六人は一ヶ月後の最終選考に向け、チームワークを、仲間意識を育んでいきます。
「全員でスピラリンクスに入社するぞ」
しかし、六人がお互いの良さを、強みを理解し、信頼関係ができてきた頃。
最終選考直前、スピラリンクスから六人に一斉メールが届きます。
- 震災の影響もあり、内定は一人にしか出せない。
- グループディスカッションの議題は「誰が内定者に最もふさわしいか」。
この酷い仕打ちに落ち込みながらも、六人は最終選考に臨みます。
ただ、会社からのこんな裏切りは、はじまりにすぎませんでした。
最終選考当日。六人での議論が進む中、六通の封筒が発見されます。
その封筒の中身は、六人それぞれの「罪」の告発。
いったい誰がこんなことを?
自分の告発される「罪」とはいったい?
曝け出される自分の隠された一面。。。
たった二時間半の選考時間内に犯人を見つけられるのか否か。封筒を開け続けるか否か。
心理戦が幕を開けます。
■ 読み手の人間性をも巻き込んでくる
「人は多面的な生き物」
なんて知ったようなことを言いつつ、生きていく上では色々な方にレッテルを貼りまくっています。
「この人はこういう人だから、こう対応した方がいい」
レッテルを貼ることで脳の負荷を下げていく。
毎回「どういう人なんだろう?」からはじめていると疲れちゃいますもんね。
人の本質を見抜けるなんて思ったことはない。
それなのに「こういう人だ」と決めつけることはよくある。
あなたもそうなら、著者の策に気持ちよくハマり、この物語を楽しめると思います。
どんどん明かされていくことは真実なのか?
こいつがついている嘘は?
ぜひぜひ読んでみてください♪