【引用】たしかに病は神に似た顔をしている。いつ罹るのかも、なぜ罹るのかもわからず、助からぬ者と助かる者の境目も定かではない、己の手を遠く離れた何かーー神々の掌に描かれた運命のように見える。
(……だが)
だからといって、あきらめ、悄然と受け入れてよいものではなかろう。
なぜなら、その中で、もがくことこそが、多分、生きる、ということだからだ。
【出典】株式会社KADOKAEWA『鹿の王 <下>-還って行く者-』P466-467 著:上橋菜穂子
帯にも書かれているフレーズですよね。
「ここか。ここで来るのか。」
という感じです。
ページ数書いちゃってるから、おおよそどの辺か言っちゃてるようなもんですけど、もう名シーンです。
大の男が・・・いや、私小柄なので、小の男が、うぉんうぉん泣く感じです。
そこから続く言葉は、著者からのメッセージなんだろうな。
【引用】(病に命を奪われることを、あきらめてよいのは)
あきらめて受け入れる他に、為すすべのない者だけだ。
他者の命が奪われることを見過ごしてよいのは、たすけるすべを持たぬ者だけだ。
閉じた瞼の闇に、小さな鹿が跳ねるのが見えた気がした。渾身の力をこめて跳ね上がるたびに、命が弾けて光っていた。
(……踊る鹿よ、輝け)
圧倒的な闇に挑み、跳ね躍る小さな鹿よ、輝け。
【出典】株式会社KADOKAEWA『鹿の王 <下>-還って行く者-』P467-468 著:上橋菜穂子
厳しく、そして強いですよね。
何で鹿が踊っているのか。
なぜ小さい鹿なのか。
もう読んでのお楽しみなんですよね。
ただ、ここでネタバレしておいても、多分ここまで読んだら鼻の奥がツーンとすると思います。
泣いちゃうよ。
自分のできることがあるなら、100%込めてやる。
それが喜んでできる人間になりたくなったなぁ。
本当に、素敵な本でした。