アイデアホイホイ〜3分のヒマつぶし

入れて出す、3分間・・・アイデアを、だよ?

アイデアホイホイセイレーン

今こそ読みたい本『鹿の王<上>』

【引用】おれたちは、身の内に、無数の命を飼ってる。--いや、飼ってるって言い方はよくねぇな。無数の小さな命が住んでいて、それが寄り集まって人になっておるんだろう。
森って言ったのは、そのことだよ。森の中には獣もいれば虫もいる。草も生えてりゃ苔もある。鳥もいる。
折りの中にいる無数の命は、ときにゃ悪さもする。虫に食われりゃ樹は枯れる。だけどよ、森には鳥もいて、虫を食ってくれるし、糞は良い土をつくる……(中略)

人の身体も同じなんだよ。ふだんは見るこたぁできねぇが、おれたちの中には無数の小さな命が暮らしてるんだ。


【出典】株式会社KADOKAEWA『鹿の王 <上>-生き残った者-』P456-457 著:上橋菜穂子

帯にはこんな言葉が。

病と戦い、
病と生きる。
今こそ、
読むべき物語。

上橋菜穂子さんの本は、『獣の奏者』から守人シリーズまで読んでいますが、『鹿の王』には手をつけていませんでした。

「俺はよっく分からなかった」なんていう上司に、
「ほれ、読んでみろ」と渡されて、くだらん反発心を持ってしまったのですね。

今、この本に再び出逢うために、あのとき反発したんだと思う。

コロナの前に書かれている本ですが、病の恐ろしさを感じ続けた今の自分には、とても共感するところが多く、病と戦う主人公ホッサルには尊敬心しかありません。

ただ主人公はもう1人います。

この世界の動物、飛鹿にまたがり奇襲を得意とする戦闘集団<独角(ドッカク)>の頭ヴァン。
この人がかっこいい。
ヴァンがアカファ岩塩鉱で奴隷として生活しているところから物語は始まり、黒い犬により岩塩鉱が襲撃を受けます。

岩塩鉱にいた人たちは、謎の病に感染し、ものの数日で全滅してしまう。
ただ、ヴァンは苦しみもがきながら、なぜか生き残ります。とんでもない力を宿して。

ヴァンの物語がいいところで、ホッサルの物語に場面がかわり、ホッサルの物語がいいところにかわる。
楽しすぎる。

第4回日本医療小説大賞かぁ・・・。
ヴァンとホッサルがいつ交差するのか、そこも楽しみでしかたありません。