朝実家で目覚めると居間に、組立式家具のパーツ一式がぽーんと転がっていた。 年末年始、なぜか手伝えることもあまりないので、 アフロ「組み立てたろか?」 そう父に申し出ると、 アフロ父「あぁ…」 なんだか煮え切らない返事なのである。 どうも自分で組み立てたいらしい。 昔から父はそういう人だ。子どもの自由研究も、プレゼントのプラモデルも、 少年アフロ「お父さん、手伝ってよ」 アフロ父「あぁ?…あぁ」 とっかかりは面倒なくせに、 少年アフロ「そこは俺やるって」 アフロ父「あぁ…」 全部やってしまうのだ。 結果、小学校の頃もらってきた賞状の半分は父の手柄で、 校長「賞状!アフロ君はこのたびの研究で…」 全校生徒の前でもらう賞状は、嬉し恥ずかし罪悪感だったのだ。 家具の組み立てなど、やりたいならやらせてあげればいいのだが、こういうときに感じることは、 「あぁ、血は争えん」 私もやりたいのである。 父と同じ血が騒ぐのである。 しかし、ここで アフロ「俺がやるって」 アフロ父「いや、ええがな」 ア「やらせろやっ!」 父「俺が買ってきたんじゃ!お前も買ってくればええやろうが」 ア「棚そんなにいらんやろがっ!」 なーんて大人気ないことになっても面白くない。 慎重にゆっくりアプローチする。 アフロ「ほい、ネジ」 アフロ父「おっ…」 ア「引き出しの取っ手は…はいよ」 父「ん…」 看護士と医者の関係に徹していく。 すると、 アフロ父「ここ持っといてくれ」 アフロ「あいよっ」 助手ぐらいの位置になれた。 しばらく手伝っていたのだが、 バキっ! アフロ父「ぬをっ!」 アフロ「引き出しの前が取れたっ!取っ手ごととれたぁ!!!」 果たして年明けまでに完成するのか。 容赦なく日は暮れていく。