プロポーズのとき、 「管理人さん…いや、響子さん!僕にみそ汁を作ってください!」 ということは知っていた。 そのついでに石のついた指輪を贈ることも。 そのお返しがあるなんて… アフロディテ「ねぇ、なにがいい?」 アフロ「鞄…かな」 ディテ「鞄?」 アフロ「そう、オーダーメイドで、俺の好きなように造って…」 ディテ「アフロが欲しければ…いいけど」 アフロ「?」 なんとなく乗り気ではないふしがうかがえる。 しかし、記念になるもので欲しいものなんて他には思い浮かばない。 しばらく放置していた。 そうこうしているうちに3ヶ月、結納やらも迫ってきて ディテ「そろそろ決めたいなぁ」 アフロ「万年筆…が、いい」 ディテ「万年筆?」 書くことが好きで、一生かけて愉しんでいきたい道楽だと思っている。 鞄にしても、文章造りの道具を専用に入れるものが欲しかったのだ。 万年筆をお願いした理由は、それが手紙を書く道具として最もすぐれているから。 万年筆は手間がかかる。 それがいいのだ。 手紙を書くのはいい。 相手が友だちであれ、恋人であれ、書いているその時間は相手と自分のことだけを考えている。 とてもゆっくりした時間が流れていく。 万年筆は、そんな時間をさらに贅沢してくれる。 書く前にキャップをあけ、ボトルを開き、インクを入れなければいけない。 インクをしめ、ペン先を拭いて、さて、やっと書き始められる。 この儀式ともいえる一連の動作が、時間をかける大切さを教えてくれるのだ。 ディテ「万年筆、いいね!」 これからもたくさん手紙を書きたい。 ひと手間をかけることで、相手の大切さや、自分が支えられていることを思い出せるなんてみっけもんじゃないか。 ちなみに、ディテさんとの関係は、どこか手紙で繋ぎとめられてきたようなところがある。 …その話は機会があればさせていただきたいと思います。 自分にとってこれ以上ない婚約記念品をいただきました。 ありがとうございます。